村長コラム:怒りを制御せよ(令和4年4月)
お知らせ
世界の安定が揺さぶられています。ロシアが隣国のウクライナに侵攻しました。このコラムが届くまでに、ウクライナ国民が安らかな日常を取り戻せていることを願うばかりです。(※執筆時は3月10日)
計算高い戦術家として知られるロシア大統領のウラジーミル・プーチン氏。戦争で被るロシア側のダメージの大きさは想像に難くなく、事実、国際経済の枠組みから排除されて苦境に立たされています。また、世界滅亡を招く核兵器使用をにおわせるのも普通ではありません。専門家も驚くプーチン氏の乱心。その根源は「怒り」と言われています。
ソ連崩壊時、生活難から大変な苦汁を味わったプーチン氏。それから約30年。大統領としての実績を積み重ねるかたわら、自らの価値観を絶対視するようになり、米国など西側諸国への恨みを募らせていったようです。歴史上の多くの悲劇は、このような個人的な負の感情により引き起こされています。
怒りは、生物の生存に欠かせない反射的な防衛本能です。アドレナリンを分泌し、戦ったり、逃げたりする際の身体能力を向上させます。ただ、人間は他者と共生する社会的動物です。本能のままに怒りを表出していては生きていけないため、それを制御する脳力(前頭葉の発達等)を獲得しました。
一方、思考を深めて発展させられる人間の脳は、負の感情を増大させることがあります。誰しも、独裁者のごとく自らの正義を信じ、何度も思い返しては自ら怒りの炎に油を注いだ経験があるはず。こんな時、怒りを行動に移す前に一呼吸を置き、自分の正義を疑ってみると案外と冷静になれるものです。
物事の見え方は自分の気持ち次第。進学、就職、異動、転勤など暮らしが様々に変化する春を優しく穏やかに迎えたいと気持ちを新たにしています。