村長コラム:成長し続ける脳(令和4年5月)
お知らせ
日本人の平均寿命は右肩上がりで伸び、100歳を超える人は8万6千人を突破しました。長寿を楽しむためにも、生涯にわたり健康でいたい、とりわけ認知機能を維持したいと願うのは万人共通でしょう。
認知症はアルツハイマー型が7割を占めます。このタイプは、アミロイドβ(ベータ)と呼ばれるたんぱく質が脳内にたまり、神経細胞の活動を阻害するのが原因とみられています。アミロイドβ蓄積の仕組みはまだ十分に解明されておらず、治療法も確立していません。
一方で、神経細胞が損傷しても、認知症を発症しない事例が確認されています。修道女のグループを20年以上追跡調査した有名な研究(ナンスタディ)は、アルツハイマー型認知症の兆候を示す脳の萎縮等が見られたにも関わらず、生前に何も症状のなかった人が8%もいたことを報告しています。
この理由として、アメリカの神経科学者で作家のリサ・ジェノヴァ氏は「認知予備力」を上げています。平均的な脳には100兆個以上のシナプス(神経細胞のつながり)があり、一部のシナプスが機能しなくなっても、他が補うとの考えです。ただ、シナプスは生活習慣に応じて増減します。刺激の少ない暮らしではシナプスは減っていきます。新たな体験、例えば友だちを作ったり、運動を始めたり、語学を学んだり、芸術を楽しんだりすると、年齢を問わず、誰もがシナプスを生み出すことができます。十分な睡眠やバランスの良い食事も効果的とされています。
認知症を発症させるほどのアミロイドβの蓄積には20~30年を要するため、対策が早いほど効果的です。皆さんが様々なことに挑戦して脳を成長させ、いつまでも幸せに暮らせるよう、50回の節目を迎えたこのコラムの継続を含め、中札内村は今後も健康で文化的な美しい村づくりに力を注ぐ決意です。
詳細はプレゼンテーション動画配信サービス「TED」をご覧ください。

