村長コラム:利他の心(令和4年10月)
お知らせ
中札内村のまちづくりで掲げるキャッチフレーズの一つが「優しく穏やかな美しい村」。人口減少や緊迫する世界情勢、地球温暖化により激しさを増す自然災害など難題にあふれる不透明な時代にあって、村民が安心感を抱きながら幸せでいられるために必要なものとは何か。行き着いた結論が、困ったときに支え合える、周囲に温かい思いを寄せられる「利他の心」を育むことでした。
薫陶を受けた人物がいます。8月24日に90歳で逝去された稲盛和夫氏。わずか7人で創業した「京都セラミック(後の京セラ)」を、一代で世界的企業に育て上げたカリスマ経営者です。9年前、中札内村図書館で偶然に手にした稲盛氏の著書「働き方―『なぜ働くのか』『いかに働くのか』」に大きな感銘を受けました。
若かりし稲盛氏は、受験や就職で挫折を重ね、多くの劣等感を抱える普通の青年でした。未来を切り開いたのは、現状への不満を口にすることを止め、目の前の仕事に全力を尽くすこと。生まれついての特別な能力はいらず、心の持ち方一つで人生を変えられるとのエピソードは、平凡な人間である私を大いに励ましました。
以後、巻末にまとめられていた「守るべき正しい考え方」を書き写し、読み返すようにしています。その内容は「つねに前向きで建設的であること」「感謝の心を持っていること」など10項目で、周囲を思いやる「利他の心」にあふれています。残念ながら、未熟な自分は今も反省を重ねる日々です。
稲盛さんは「人間として正しい考え方を持ち一所懸命努力すれば必ず夢は実現する」と語っています。「優しく穏やかな」心を育むなど大それた目標ではありますが、率先垂範で地道な一歩を重ねていく決意です。
▼稲盛氏の著書の一部は中札内村図書館に蔵書があります。

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