村長コラム:美しい村と山岳画家(令和5年4月)
お知らせ
NHK帯広放送局制作の特別番組「山と原野とスケッチと ~日高山脈と生きた画家 坂本直行~」はご覧になったでしょうか?六花亭の花柄包装紙の制作者で、「チョッコーさん」の愛称で知られる画家の生涯を追ったドキュメンタリー。BSプレミアムと北海道限定の地上波放送のほか、NHKの人気番組「日曜美術館」でもほぼ同内容で放送され、国立公園指定が予定される日高山脈とともにスポットライトが当たりました。
直行さんは、木材業で財をなした坂本弥太郎の二男で、幕末の英雄・坂本龍馬の子孫(本人は生涯その言及を拒んだ)。幼少時から絵を描くことと自然を愛し、北海道大学進学後は農学を学びながら登山に没頭しました。大学同級生に誘われて初訪問した十勝で日高山脈の威容に魅せられ、開拓農民として広尾町の原野に入植。極貧の中で山行を重ね、描いた日高の山々は1千枚を超します。
村歌や校歌に「日高」に関する言葉の並ぶ中札内村が、これほど日高山脈にほれ込んだ直行さんと何も縁はなかったのか? 札幌ふるさと会員の伊藤治朗さんが興味深い思い出を教えてくれました。小学生だったころに「駅の便所のそばで絵を描く変なおじさん」をよく見かけたそうで、それが直行さんでした。当時、国鉄職員であったご尊父・俊明さんが不審に思い尋ねると「ここから見る十勝幌尻岳が一番見事なんだ」と返されたそう。村民としては誇らしいエピソードです。
直行さんの展示施設のある「六花の森」が中札内村の名前とともに全国放送されたことで、観光協会には日高の山に関する問い合わせが多々寄せられるようになりました。ポロシリ岳を背景に繰り広げられる春耕作業が美しい季節。グッと身近な存在となった直行さんと彼が愛した日高山脈について、村内での関心がさらに高まればと思います。
▼大盛況だった「山と原野とスケッチと」番組企画展(3月、帯広市)。取材裏話と一部動画を下記リンク先からご覧いただけます。