村長コラム:足るを知る(令和5年9月)

お知らせ

 記録的な暑さに見舞われた今夏。東京都心では猛暑日(気温35℃以上)が過去最多となり、この十勝でも真夏日(気温30℃以上)が13日間続きました。9月に入りようやく秋の気配が漂い始めましたが、厳しい残暑との予報ですのでご自愛ください。

 一方、新型コロナウイルスの感染症法上の分類変更後、観光施設やイベントが通常営業となり、訪日客がコロナ前の7割の水準に復活するなど観光の動きは活発です。中札内村でも、50回の節目を迎えた「やまべ放流祭」は8千人が来場し、商工会七夕まつりも大盛況となりました。皆さまも夏のにぎやかなひと時を過ごされたかと思います。

 観光業の活性化は経済の好循環につながる歓迎要素ですが、コロナ禍からの反動があまりに大きく、人の過密で環境負荷を招く「オーバーツーリズム(観光公害)」を深刻化させています。交通渋滞やゴミのポイ捨て、騒音、農地を含めた私有地への無断侵入などで地元民との確執が発生。世界的に人気の観光地では、住みづらさから住民が離れる本末転倒の事態も見られます。

 観光のみならず、行き過ぎた経済活動は往々にして悲劇を生みます。例えば、東南アジアのローカル食材「ウシエビ」。台湾で養殖技術が確立され、「ブラックタイガー」の名で日本にも流通するなど一大産業に発展しましたが、効率良く大量生産しようと過密環境での養殖がウイルスのまん延を招き、台湾での事業は崩壊しました。今年の猛暑を招いた地球温暖化は、こんな過度な商業利益の追求が積み重なった結果と言えます。

 「足るを知る者は富む」。中国の思想家、老子の言葉です。今ある状況に感謝し、ほどほどの暮らしに幸せを見出す。賢人の言葉が今、改めて胸に響きます。


▼心の豊かさを大切にする美しい村づくりを目指します(写真はイメージ)

9月号村長コラム画像 遊具で遊ぶ子どもたち

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