村長コラム:長寿の良薬(令和2年9月)

    9月号の巻頭特集は防災がテーマ。コロナ禍(か)で「まさか」の事態を乗り切るには、日ごろの備えに加えて、感染症に負けないたくましい心身の維持も大切です。さて「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言いますが、逆もまたしかり。英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームから、そのことを実証するような報告が発表されて話題となりました。

    この研究は、50歳以上の男女6千人(平均年齢65・9歳)の社会生活を平均12年にわたり追跡したもの。調査期間中の被験者の死亡率を検証したところ、「芸術的活動」(美術館やコンサートに行く等)への参加数との相関関係が見られました。具体的には、芸術的活動に全く参加しない人の死亡率が47・5%だったのに対し、年に1、2回でも参加する人の死亡率は26・6%に、2、3カ月に1回の頻度の人では18・6%にまで減少しました。つまり、芸術に触れる人は「早死にしづらい」との結果が出たのです。

    とは言え、「芸術には興味がない」「敷居が高い」という方も少なくないでしょう。実は私自身、少し前までは似たような思いを抱いていた一人。文化活動を大切にする中札内村のマチづくりに携わり、芸術を味わう楽しみを知ることができるようになりました。振り返ると、自分の芸術への苦手意識は美術や音楽、図工などの学校成績の悪さがトラウマになっていただけのようです。

    子どものころに嫌いだった食べ物が好物になる、運動を苦手にしていた人がマラソンをたしなむようになるといったケースは枚挙にいとまがありません。芸術の秋。村では9月のピアノコンサートや地元彫刻家の作品展をはじめ、文化事業を各種予定しています。長寿の良薬を取りに足を運んでみてはいかがでしょうか。

写真説明=ふるさと納税で導入したピアノ「ファツィオリ」のお披露目演奏をインターネット(YouTube、QRコードからアクセス)で閲覧いただけます。全国の中札内村ファンから約4千回以上再生されるなど好評を得ています。

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